もともと問題の無かった歯並びなのに、口腔内に何らかの問題を起こして後天的に歯が移動してしまうことを「病的歯牙移動」といいます。
エピソード:最近出っ歯になってきたんです!!!
50歳女性が歯石除去を希望して来院された時のことです。実は、今回来院しようとされた理由がもう1つありました。
それは、毎日口紅を塗る時に、前歯がどんどん前に出てきたように感じるということでした。
上顎前歯には隙間があり、下顎前歯にはわずかな叢生があります。ぜひ出っ歯を元に戻したい、とご希望されましたが、唇は完全に閉じることが難しくなっており、骨の破壊がかなり進んだ状態でもありました。口腔内は、歯石やプラークの沈着が見られ、歯周病はかなり進行していました。
もともとはきれいに並んでいた前歯。
歯周病が進むと、まず咬合力を支えている臼歯部が一部喪失したり傾斜を起こしたりします。そして、歯の喪失や傾斜は、上下顎の咬み合せの基準位置を狂わせてしまいます。この臼歯部での咬み合せ位置のズレは前歯では、ほぼ3倍に増幅されると考えられています。
臼歯部のわずかな基準位置からのズレも、下顎前歯は上顎前歯を大きく突き上げることになり、結果として、前歯は前に張り出してしまうのです。
【治療前】


【治療後】
【治療前】


【治療後】
最近出っ歯になったと感じるのは、直接的には、下顎前歯が上顎前歯を突き上げているからです。改善のためには、矯正治療で上顎前歯を舌側へ引くことが改善と思われますが、その前提として、まず、歯周病の感染部位を除去し、臼歯部の傾斜を元の位置に起こすなどの、下顎前歯の上への突き上げを取るアプローチが必要となってくるため、必然的に、矯正期間が長くなる可能性が高くなります。
また、上顎前歯の骨の破壊が進んでいるようなケースでは、残念ながら抜歯と補綴という形になるケースも多いかもしれません。
症例写真の治療について
歯周病により歯が病的に移動してしまい、出っ歯となってしまったケースの治療です。
歯周病治療の後部分矯正を行い、出っ歯の状態を改善しました。治療期間は、約18ヶ月です。
矯正治療後は、一般歯科の治療を継続しています。
症例写真の治療の費用
900,000円(税別)
※上記は矯正治療にかかる費用です。
別途歯周病治療の費用が必要となります。
症例写真の治療のリスク
- 原則透明な固定装置を使用しますが、見た目が気になる場合があります
- 隙間に食べた物が挟まりやすくなるので、口腔ケアをしっかり行う必要があります
- 場合によっては、硬い物を咀嚼する時に痛みを伴うことがあります
- 治療内容によっては抜歯をする必要があります
- プラークコントールが悪いと、歯周病が再発します
- 矯正治療中に歯を失ってしまう可能性があります